ビジネスの世界では環境の変化が激しく、新入社員の育成方法にも大きな変革が求められています。
昔ながらの教育アプローチが全ての新入社員に合うわけではなく、各個人の個性や能力を如何に活かすかが、企業の持続可能な成長に直結しています。
本記事では、新入社員を効果的に育成するための現代的なアプローチ法について考えていきます。

会社色に染まれ
かつての企業では新入社員を会社の文化に染めるために画一的な研修が一般的でした。
しかし、今日の労働市場は多様な才能や価値観を持つ人材で溢れています。
新しい世代の社員に対しては、その多様性を理解し、個々の特性を生かすことが非常に重要となっています。
例えば、新入社員の特性に応じて、事前学習の機会を増やす。逆にすぐに実践できる機会を増やす。
あるいは、メンターやブラザー・シスターなど相談できる人を増やす(選択できるようにする)など「仕組みや選択肢を増やすこと」を目指した試行錯誤が行われています。

育成や人事の選択肢を増やす
この「選択肢を増やす」というアプローチは、学び方だけでなく、仕事の進め方や働き方においても多様化が求められています。
例えば、新入社員が自分の興味関心や学び方に合わせて、様々なメニューの学習をオンラインで受講できるようにするような取り組みが増えています。
仕事の進め方に関しても、自分の意思で参加できるプロジェクト的な業務を提供し、個人の得意分野やキャリア目標に合わせた業務を行えるようにする企業もあります。

例として、あるIT企業では新入社員の研修プログラムにおいて、役職や部署を越えたメンタリングシステムを導入しています。
このシステムでは、新入社員が異なる部門の経験豊かなメンターとペアを組み、定期的にキャリアの相談や技術的な指導を受けることができます。
直属の上司や周囲の同僚には相談しにくいこと。会社全体や部署の違いによる考え方の違いなどに触れる機会を提供し、自分自身を客観視(メタ認知)する機会としても有効な場になっています。
これにより、新入社員は多角的な視点を学び、自己のキャリアパスを形成する上での幅広い選択肢を持つことができます。

時代の変化に組織を適応させる
組織が新入社員の個性を尊重し、それぞれが自己実現を図れる環境を整えることは、企業にとっても大きなメリットをもたらします。
多様性を活かすことは、創造性やイノベーションを促進し、社員のモチベーション向上にもつながります。
何より、少子化の影響で新卒採用が厳しさを増す現状において、新入社員の個性を尊重しようという姿勢のない(何十年も変わらない育成法や人事制度となっている企業)企業は選ばれなくなってきています。

新入社員の育成を通じて、未来のリーダーを育て、企業文化の革新と持続可能な成長を目指すことが重要です。
本記事が、人事担当者や経営者にとって、新入社員育成の新たな方針を考えるための一助となれば幸いです。

日経ビジネスの過去記事で、

「コロナ+高ノルマ」 企業破滅への最短距離

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00562/

という話が目に留まりました。

組織にかかわる仕事をしていると、

「目標管理」「成果主義」「KPIやバランススコアカード」

など、このノルマや目標に関することがよく話題となります。

ここで、経営者目線で考えなければならないのは、

「倫理的に問題となるような行動につながるノルマと、そうでない目標の違いはなんだろう?」

これを間違えると、記事にあるように最終的には企業破綻につながってしまうような大問題となる。

この記事はその事実を物語っています。

 

目標とノルマの違い

同じ目標であっても、

 

のような、内発的動機づけとなるようなケースもあれば、

 

というような外発的動づけにつながり「自分さえよければ・・・。」という思考、

あるいは思考停止につながってしまうケースもあります。

この後者はノルマと表現されることが多いようです。

もともとノルマは「基準を設定して守らせる」というニュアンスの言葉です。

つまり、誰かに強制されるもの。

その時点で、外発的動機づけが前提になっています。

 

一方、目標設定という言葉を使うときには、自分で設定する。納得の上で決める。

というニュアンスが含まれていると思います。

つまり、自分のために自分で決めるもの。

内発的動機づけにつながってほしいという思いが含まれている。

 

内発的動機付けにつながる目標設定とするために

目標設定を仕掛ける側(社長や管理職、あるいは家庭における親の立場)は、内発的動機づけにつながるような目標設定。

すなわち、

  1. 自分で決めることが大前提であり、
  2. 目標達成の社会的意義や顧客にとっての価値が見えていて、
  3. それにチャレンジすることが自己成長や自己実現につながり、
  4. チャレンジが歓迎され、それによる失敗も許容されるなかで、
  5. 目標達成までの道のりにある苦難も楽しみ、喜びにつながっていくようなサポートが必要となること。

 

を前提に、社員や部下、あるいは子供と接する必要があります。

ノルマは、時代の変化とともに、よりネガティブな印象・作用を持つ言葉になっていると感じています。

肉体労働から知的労働へ。

その人それぞれの個性を生かしながら、主体性・創造性を発揮して活躍してもらうためには、ノルマを極力減らす必要があります。

組織の論理よりも個人の思いが尊重される時代において、死語になるべき言葉。それがノルマなのかもしれません。

やさしさ

一年以上続いているコロナ禍。

緊急事態宣言により、さらに厳しい状況となっている企業や個人。

いまの日本(も含めた世界)は本当につらい状況にあると思います。

そんな状況下で、先日、

「いまを耐え忍べば、そのうち明るい未来がやってくる。だからそれまでがんばろう!」

という主旨の言葉を、つらい思いをされている方に伝えているシーンに出くわしました。

その言葉をかけている人の思いというか、やさしさに共感する部分もありますが、同時に思い出したのが、

希望と絶望の繰り返しほど、人を疲弊させるものはない。

という事実です。

「一か月我慢すれば・・・」「来年度に入れば少しはましになるはず・・・」

など、状況の好転を願って、とにかく耐え忍ぶことを選ぶことがあります。

しかし、そうして定めた期限までに状況が好転しないことを繰り返すことで気力が失われ、希望を持つことができなくなってしまう。

 

そうならないためには、

自分の力ではどうにもならないもの(≒天災など)が、自分にとってこの好ましい状況となることを願うのではなく、

今の自分にできることに集中し、精いっぱいの努力を重ねる。

状況の好転を願って耐え忍ぶのではなく、自分の意志で実現するビジョンを描き、その実現に向けて動くという姿勢こそ、いまこそ経営者に求められるのではないでしょうか?

 

禍は、コロナだけではない

たしかに、今はコロナ禍でとてもつらい状況にいる。

私では想像もできないぐらい、つらい思いをしている人もいるはず・・・。

そのような人たちに、いまできる最大限の支援をしよう!という思いもわかるし、私もそうありたいと思います。

他方で、経営者目線で冷静に考えれば、次のようなリスクがあることに気づきます。

コロナ禍は、これからの日本を襲う様々な天災・問題の序章に過ぎなかった。

30年後の未来では、そんな言われ方をしているかもしれません。

 

覚悟

「覚悟」という言葉の意味を調べると、

1 危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること。
2 仏語。迷いを脱し、真理を悟ること。

などとあります。

経営者の端くれとして、今こそこの「覚悟」が必要だな~と考えています。

いまの現状を楽観的に捉え、自分にとって都合の良いことばかりに目を向けるのではなく、広く情報を集め、悲観的・批判的に捉えて対策を練り、素早く行動に移す。

そうすることで、楽観的な思いからのビジョンにちょっとずつ近づくことができるのではないか?

 

楽観的にビジョンを描き、悲観的・批判的に現状をとらえて、臨機応変に前へと進む

 

改めて、経営者の一人として、日本で生を受け、これからも生きていく者として、覚悟して前に進む。

いまはそのように考えています。

 

とは言え、いつもしかめっ面で悲観的・批判的なことばかりいっていると、

「お父さん、また怖そうな顔してる~」

家族にネタにされるので(苦笑)、明日からも、笑顔と楽しむことを大切に過ごしていきたい。そう思います。

オンラインミーティングをうまく進めるためのポイントとは?

コロナ禍で、世界中でオンラインミーティングが増えています。

弊社は、もともと居住地を問わずにメンバーを募っているため、コロナ禍に限らずオンラインミーティングが日常となっています。

そうした経験から、オンラインミーティングをより有意義なものとするための視点を7つほどご紹介します。

  1. 報告事項など、共有したいことは事前にチャットで共有しておく

    特にオンラインにおいては、特定の人が長く話す(10分以上)と、他のメンバーの集中力を切らしてしまいやすい。また、口頭の報告ではなく、できれば文字や図表を用いて、視覚的に共有する。それを事前に行うことで、ミーティング時は報告をふまえた対話・議論に集中できる。

  2. 議題も事前に明確にしておいて、事前に自分の意見を書き込める場合はそうしておく

    当日、集まってから「何を話しましょうか?」となると、一気に場がゆるんでしまう。それが大切な時もある(あえて雑談するような)が、基本的には、どんな対話・議論をするか?を参加者一人ひとりが事前にざっくり考えた上で話し合いに臨んだほうが、有意義な場となりやすい。

  3. オンラインミーティング時は、当人が話したいこと。皆が集まったからこそできること(対話・議論)に集中する

    ※報告事項や、知らない一部の人にだけ情報を共有する時間はもったいない。

  4. ミーティングは録画し、議事録的に保存。別途議事録をつくるようなことはしない

    議事録作成には多くの時間を要するが、実際にそれが活用される機会は少ない。でれば、動画で保管し、本当に必要な場合のみ見返すほうが効率的だと思われる。

  5. 録画したものを文字起こしソフトを使って文字化する

    現時点で、どのアプリでも精度は8割~9割程度だが振り返りには十分。はっきり思い出したいところは動画を見る。

  6. 議論や対話時に出たキーワードや事例は、その場で検索して共有するなど、検索→画面共有による即時的共有を積極的に行う

    話し合いにおいて「意味の共有」「主張の背景・理由の共有」はとても大切だが、オンラインでればそれが比較的容易にできる。それをフル活用していく。

  7. ガントチャートや付箋・模造紙代わりのホワイトボードなどは、クラウドサービスを使い、全員で同時編集しながら進める

    誰かが入力している間、ほかの人が待つようなことを極力しない。大人数で一緒に作る。作業することがしやすいのもオンラインの利点の一つ。

 

1~3は、リアルのミーティングであっても大切なことだと思います。

 

全員が経営者である会社は、対話が欠かせない。

弊社は、全員が資本参加し、何の仕事をやるのか?報酬はどうするか?などを自分で決める「共同経営体制」で運営しています。

全員が経営者。

を実現しようと、このような形をとっているのですが、

最大のリスクは

「皆が自分の価値基準で動き、会社がバラバラになってしまうこと。相乗効果が発揮できないこと」

にあると考えています。

そうならないために欠かせないのが、チームビルディングや課題解決に必要な対話・議論です。

それぞれのクライアントに関する情報は事前に報告しておき、経営会議の場は対話・議論に集中する。

特に、何のために?何が大切なの?何を優先する?などについて話し合う対話を重視しています。

その対話に集中するために、それ以外のことはできる限り無駄なく、効率的に行う。

その探求過程でうまれたのが、上記7つのことです。

これからも、理想的なチームを目指して、ミーティングのあり方を探求していきます。

なぜ失敗するのか?

先日、とある経営者の方と、コロナ禍における企業経営・意思決定について話していました。

その方の持論として、

「絶対に成功する方法はないが、失敗する確率を減らす方法はある」

「何かを成し遂げたいと思ったら、失敗する確率を少しでも減らすこと」

「失敗するときは、決まって合理的でない意思決定を積み重ねたとき」

というものがあります。

私も、この考えにとても共感しているのですが「合理的でない意思決定」について、もう少し具体的にできたらな~と考え始めました。

 

人が不合理な選択をしてしまうのはなぜか?

この問いは、「行動経済学」や「行動科学」などの分野で盛んに研究されています。

それを、意思決定が必要な場面でセルフチェックするようなリストにしたいと考え、作成し始めました。

現在、12項目となっていますが、今後も研究・対話を重ねて充実させていきます。

 

失敗の確率をさげるための、12の「問い」

  1. 今の自分は傲慢な考えになっていないだろうか?
  2. 未来のためになる選択肢はなんだろう?
  3. 今さえよければ・・・になっていないだろうか?
  4. 失敗を恐れて、真にやるべきことを避けていないだろうか?
  5. 「挑戦しないリスク」はなんだろうか?
  6. 知らないことを理由に避けていないだろうか?
  7. 自分が感じている違和感や嫌悪感は、知らないことから来ていないだろうか?
  8. もったいないからと、さらなる損失を出し続けることにならないか?
  9. 帰ってこないお金やモノにとらわれていないか?
  10. 自分の考えが間違っている可能性はないだろうか?
  11. 社会的に見て間違ったことをしていないだろうか?
  12. 多数派の意見に合わせるようにしていないだろうか?

 

新年度に向けて、経営方針や予算計画を組むこの時期。自分自身に問いかけるのがこの問いです。

「変えることが目的化していないか?」ときに私たちは、変えることを目的化してしまい、変えるべきでないことまで変えてしまうことがあります。

今日はこの問いについて、少し考えをまとめてみたいと思います。

変えることが目的化するとき

翌年の取り組み、中長期的な計画を立てるための打ち合わせで、次のようなセリフが出ることがあります。

 

たしかに、どの意見も一理あって、私自身も同じことを繰り返すのは苦手な方です。

今年も取り組んだことを翌年も取り組むのであれば、少しでも改善・改良し、より良いものを提供したいという思いも強く持っています。

ですので、変えること自体には大賛成なのですが、このとき立ち止まって考えるべき問いがあります。

それが、「変えることを目的にしていないか?」「本来変えるべきではないことまで、変えようとしてないか?」という問いです。

変えることに目を向けるとき、同時に『変えてはならないこと』がないかを確認することの重要性。過去の痛い失敗経験から学んだ教訓です。

 

不易流行を考える

以前、変えることを目的化し、お客様から高く評価されていたサービスをやめてしまったことがあります。その時にお客様から教わった言葉が『不易流行』でした。

私はこの言葉を、

不易・・・外部環境として変わらないもの、内部環境として変えてはならないもの。

流行・・・外部環境として変わるもの、内部環境として変えるべきもの。

と解釈して活用しています。

この視点を持つと、変えることが目的化されてしまうことを防ぐことができます。

自分たちの持つ価値、お客様からみた価値あるものは何か?を徹底的に考え、来年以降も引き続き大切にしていくものを定める。

時代の変化に合わせて変える必要があることもあるが、時代が変わっても守り続けるべきもの、普遍的な価値を持つものは何かを見定める。

来年以降も引き続き大切にしていくこと、守り続けることは何か?それを熟考したうえで、変えるべきことを変えていく。

そんな姿勢を忘れずに進んでいきたい。そう思います。

 

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