経営者の覚悟
やさしさ
一年以上続いているコロナ禍。
緊急事態宣言により、さらに厳しい状況となっている企業や個人。
いまの日本(も含めた世界)は本当につらい状況にあると思います。
そんな状況下で、先日、
「いまを耐え忍べば、そのうち明るい未来がやってくる。だからそれまでがんばろう!」
という主旨の言葉を、つらい思いをされている方に伝えているシーンに出くわしました。
その言葉をかけている人の思いというか、やさしさに共感する部分もありますが、同時に思い出したのが、
希望と絶望の繰り返しほど、人を疲弊させるものはない。
という事実です。
「一か月我慢すれば・・・」「来年度に入れば少しはましになるはず・・・」
など、状況の好転を願って、とにかく耐え忍ぶことを選ぶことがあります。
しかし、そうして定めた期限までに状況が好転しないことを繰り返すことで気力が失われ、希望を持つことができなくなってしまう。
そうならないためには、
自分の力ではどうにもならないもの(≒天災など)が、自分にとってこの好ましい状況となることを願うのではなく、
今の自分にできることに集中し、精いっぱいの努力を重ねる。
状況の好転を願って耐え忍ぶのではなく、自分の意志で実現するビジョンを描き、その実現に向けて動くという姿勢こそ、いまこそ経営者に求められるのではないでしょうか?
禍は、コロナだけではない
たしかに、今はコロナ禍でとてもつらい状況にいる。
私では想像もできないぐらい、つらい思いをしている人もいるはず・・・。
そのような人たちに、いまできる最大限の支援をしよう!という思いもわかるし、私もそうありたいと思います。
他方で、経営者目線で冷静に考えれば、次のようなリスクがあることに気づきます。
- 南海地震や関東大震災。富士山の噴火もいつ起こるかわからない状況で、台風の威力が増し続け、様々な自然災害のリスクが常にある。
- 仮にコロナが終息したとしても、人がグローバルな活動を続ける限り、パンデミックのリスクも常にある。
- 今回のコロナ禍がそうであるように、ほとんどの人が予想できないようなものが、予想できないタイミングで新たな脅威となることも、歴史上何度も起こっている。
- 人口オーナス期にある日本は、基本的に市場規模が縮小傾向にあり、従来型のビジネスは成り立たなくなっていく。
- 国としての借金も積みあがる一方で、国も地方自治体も余裕がなくなっている。どれだけ支援を要請しても、支援する側に余裕がない状況となっていて、それが今後改善する見込みもない。
コロナ禍は、これからの日本を襲う様々な天災・問題の序章に過ぎなかった。
30年後の未来では、そんな言われ方をしているかもしれません。
覚悟
「覚悟」という言葉の意味を調べると、
1 危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受けとめる心構えをすること。
2 仏語。迷いを脱し、真理を悟ること。
などとあります。
経営者の端くれとして、今こそこの「覚悟」が必要だな~と考えています。
いまの現状を楽観的に捉え、自分にとって都合の良いことばかりに目を向けるのではなく、広く情報を集め、悲観的・批判的に捉えて対策を練り、素早く行動に移す。
そうすることで、楽観的な思いからのビジョンにちょっとずつ近づくことができるのではないか?
楽観的にビジョンを描き、悲観的・批判的に現状をとらえて、臨機応変に前へと進む。
改めて、経営者の一人として、日本で生を受け、これからも生きていく者として、覚悟して前に進む。
いまはそのように考えています。
とは言え、いつもしかめっ面で悲観的・批判的なことばかりいっていると、
「お父さん、また怖そうな顔してる~」
家族にネタにされるので(苦笑)、明日からも、笑顔と楽しむことを大切に過ごしていきたい。そう思います。