会社の規範や行動指針は、永遠のものではなく常に見直し続けるもの
それぞれの時代に定められた法や規範の例
【ハンムラビ法典より一部抜粋】
第196条 もし彼(上層自由人)がほかの人(上層自由人)の目を損なったならば、彼は彼の目を損なわなければならない。
第197条 もし彼(上層自由人)がほかの人(上層自由人)の骨を折ったならば、彼は彼の骨を折らなければならない。
第198条 もし彼がほかの人(一般層自由人)の目を損なったか、骨を折ったならば、彼は銀1マナ(約500グラム)を支払わなければならない。
第199条 もし彼がほかの人の奴隷の目を損なったか、骨を折ったならば、彼はその(奴隷の)値段の半額を払わなければならない。
第200条 もし彼(上層自由人)がほかの人(上層自由人)の歯を折ったならば、彼は彼の歯を折らなければならない。
第201条 もし彼がほかの人(一般自由人)の歯を折ったならば、彼は銀三分の一マナ(約167グラム)を支払わなければならない。
(バビロニア王国 紀元前1792年~1750年)
【什の掟―じゅうのおきて(ならぬことはならぬものです)】
一、年長者(としうえのひと)の言ふことに背いてはなりませぬ
一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ
一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
一、弱い者をいぢめてはなりませぬ
一、戸外で物を食べてはなりませぬ
一、戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ
ならぬことはならぬものです
(会津藩 江戸時代1603年 – 1868年 )
【鬼十則】
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきではない。
2. 仕事とは先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取組め! 小さな仕事は己を小さくする。
4. 難しい仕事を狙え! そして成し遂げるところに進歩がある。
5. 取組んだら放すな! 殺されても放すな! 目的を完遂するまでは...
6. 周囲を引きずり回せ! 引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる。
7. 計画を持て! 長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て! 自信が無いから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一部の隙もあってはならぬ!! サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな! 摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。
(電通 1951年制定)
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E7%A7%80%E9%9B%84
永遠に続く「正しさ」はない
例えば、ハンムラビ法典は、人は平等ではなく階層があることが前提となっており、所有者の利益を守る(ちなみに、女性は男性の所有物的な扱い)という思想が感じられます。
什の掟からは、儒教思想の中心的なものである「孝悌」や「恕」の精神が感じられます。
鬼十即を読むと、子供のころに見ていたCM「24時間戦えますか?」のセリフと映像が浮かんできます。
※様々な解釈がありますので、あくまで一個人の意見です。
福島出身の私は、会津藩の影響を受けて育った方々が近くにいたので、
「男だったら泣くな」
「男だったら弱音を吐くな」
「目上の人を敬え。口答えするな」
など、男や女はこうあるべき!や年上の人を敬え!という規範をよく耳にしました。
このような教えに共感する人もいれば、嫌悪感を感じる人もいる。
ちなみに私は嫌悪感を感じていました。
そのような教えの中で、自分のやりたいことにチャレンジできずにいる母の背中をいつも見ていたのが大きな理由の一つです。
女性だ、母だというだけで、男性や父が当たり前にやっていることをやってはいけない。
いつも自分のやりたいことを楽しそうに話す母と、それができない辛さを語る母を見ながら、それって、なんか変だよな~と子供ながらに感じていました。
とは言え、私の感じた嫌悪感は、男女雇用機会均等法や、ゆとり教育など社会の思想やルールの変化の影響を受けていたことも確かです。
時代が変われば思想やルールも変わり「正しさ」も変化していく。
そのことを理解しておかなければ、自分の思想・価値観が時代遅れとなっていることに気づかず、会社や組織を誤った方向に導いたり、苦境に陥らせてしまうことがある。
組織に与える影響が大きい人は、常に事のことを肝に銘じておく必要があります。
会社の規範や行動指針は、永遠のものではなく常に見直し続けるもの
ライフワークである老舗の研究を続ける中で、100年以上続く老舗は、社会からの信用を第一に事業や指針を変化させ続けていることに気づきました。
企業は、社会に何かしらの価値を提供し続けなければ生き残れません。
その社会は、絶えず変化しており、社会的に何が大切にされているか?も変化し続けている。
組織内部の価値観と、社会の価値観のギャップが広がり続け、そのギャップが公の目にさらされたとき、組織は社会的なバッシングを受けることになります。
組織に強く影響を与える側(経営者や管理者)は常にこのことを念頭に置き、
- 自分の価値観・組織の価値観が社会の価値観と乖離していないかどうか?
- 自分たちが「正しく」相手が「間違っている」という思考に陥っていないか?
- 時代が変化しても大切にし続ける規範・行動指針は何か?
などを問い続け、見直し続けていく必要がある。昨今のニュースから、このことを強く実感します。