仲間意識を広げていく

以前、経営に行き詰まり、社員の大量解雇を含めたリストラ策を実行せざるを得ない状況に関わったことがあります。一人ひとりと対話していく中で、

「自分たちのチームはベストを尽くしている。なのにあの部署は・・・」

「自分たちはお客様目線で仕事をしているが、あの部署は結局自分たちのことしか考えていない」

「うちの部署のことについて、外の人間にとやかく言われたくない。うちの部署の人間は俺が守る」

などの発言をたくさん耳にしました。

 

同じ会社・組織の一員ですが、部署、あるいはさらに小さな数名のチームを「内集団」と捉え、

それ以外を「外集団」と捉えているようなこの発言は、組織が分断してしまっていることを物語っています。

実際、部署の垣根を越えて協力する必要がある、新しい商品・サービスの話になっても、

なかなか話がまとまらず、それぞれがバラバラに動いているような状況でした。

 

 

仲間意識の罠

内集団バイアス(in-group favoritism, in-group bias)という言葉があります。

内集団びいきと合わせて、自分が所属する集団に対して、好意的でいい評価をしたり、優遇する心理的傾向を指す言葉ですが、

気を付けなければならないのは、自分が所属しない集団(自分の外側にある集団)に対して敵対的な姿勢となってしまうリスクもあるということです。

自分の所属する課は仲間(内集団)だけど、

他の課や組織全体は仲間ではない(外集団)という認識の場合、

仲間を思う気持ちによって組織を分断してしまい、結局のところ自分や仲間も守れない。

ということも起こりえます。

自分が持っている「仲間」の感覚を広げていくことが、現在の経営には必要だと感じています。

 

 

仲間意識の輪を広げる

例えば、係単位で感じていた仲間意識を課の単位に。さらに部門や組織全体へと広げていく。

自社・業者・顧客という線引きも、同じ地域に住む生活者や共同体だと捉えなおしてみる。

政治的思想や信仰する宗教の違いがあっても、同じ地球に住んで幸福を願う仲間だと捉えなおしてみる。

理想論ですし、現実には非常に難しいことも多いのですが、

自分の持つ仲間意識の輪を広げていくことで、組織や地域、世界の見え方が大きく変わります。

それが、自分にとって好ましい変化であることも多いはず。

自分の持っている仲間意識の輪の大きさに注目して過ごしてみると、自分にとって好ましい発見がいろいろある。そう実感しています。

 

※弊社が運営母体として関わっている「テラ・ルネッサンス オンラインサロン」では、このような投稿に対して対話を重ねています。ご興味のある方は、こちらからお問い合わせください。

https://co-lab2017.jp/contact/

2021/02/21
writer

伊藤 史紀

blog一覧に戻る
このページの一番上に戻る