2019年度人材マネジメント部会 初日(中編) データと論拠が主張をつくる

(担当:伊藤文章:五十嵐)

2019年4月17日に開催された2019年度人材マネジメント部会の初日のレポートの続きです。

(前編はこちら

 

「未来」を考えるために「過去」を考える

続いて行ったのは、自身が所属する自治体と自分自身と経験を振り返っていくワークショップです。

人材マネジメント部会は、自治体の「未来」に向けて戦略を描いていくことが重要な活動のひとつですが、そのためには、必ず「過去」の経緯を知ることが大切になります。

そこで、まずは平成30年間を切り取って、その経緯をできるだけ書き出していきます。

・市町村合併があった
・人口が増えたor減った
・大きな災害があった
・市長が変わって戦略が変わった などなど

その具体的な年数や数字まで、できる限り具体的に、手元のスマホも使いながら調べていきます。

自治体は、民間企業に比べれば細かいデータが公開されているようでいて、市町村合併を経験しているところなどは、情報が散逸してしまっていたりして意外に難しかったようですが、参加者の皆さんは時間をかけて、黙々と書き出していきました。

並行して、自分自身のこと、例えば入庁や異動、結婚などの個人的な出来事までを書き出していき、さらに、それらの出来事に対する自分自身の気持ちの変化までをグラフ化していきます。

書き終えたら、また参加者同士でお互いに説明し合います。

「この時に市長が変わって…」「震災が…」といった説明とともに、グラフがあがったりさがったりする様子が各テーブルから伺えました。

 

データと論拠を土台に主張する

この作業の目的は、これから自身の自治体の未来戦略を立てるにあたり、データと論拠をふまえた主張を身につけることです。

未来に対する戦略に絶対的な「正解」はありません。

先のことはどうなるかは誰にも予測することができないし、まして現代はこれまで以上に未来が予測しにくくなっています。

それでも、人口の推移のように、比較的予測しやすいものもあります。

まずは過去の経緯を知ること、具体的な数字などを含むデータ、さらに数字では表せない定性的な情報、例えば、市長がどのような戦略を掲げたのか、どのようなムードになったのか、といったことまでを把握することで、より精度の高い戦略を立てることができるし、反対意見に対する主張もより鋭いものになります。

自治体においては、かつては人口も税収も増えているのが当たり前の時代がありました。

その頃は、住民の期待に応える公共施設や公的サービスをつくれば、比較的容易に住民満足が得られたし、そのための予算もありました。

今はそんな時代ではないわけですが、当時活躍していた先輩や上層部との感覚のギャップというのも、若手職員の中には悩みとしてよく聞かれます。

彼らと議論を戦わせるためにも、まずは定量・定性両面でデータを味方につけることが重要な武器になります。

 

FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

なお、これらの主張を裏付ける書籍として、最近話題の本も紹介されました。

人はいかに思い込みに囚われているかを説明し、それを回避する方法を説いた書籍『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』です。

国際的エリートでさえも今世界で起きている重要な事実に対して誤った認識をしている、という発見を基に、人には世界を誤認してしまう10の「本能」があるということ、そしてそれを回避するための方法を説いています。

(詳しくはこちら

参加者の皆さんは、当面の課題として、自身の自治体についてさらに詳しく調査をしたり、時には先輩や上司にインタビューをしながら、まずは過去を正確に把握していくことになります。

この日のワークショップで経験した「対話」と「データと論拠」のスキルを早速活用していただけたら、と思います。

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