2019年度人材マネジメント部会 初日(前編) 対話からはじめる

(担当:伊藤文章:五十嵐)

2019年4月17日、コレド日本橋で、2019年度人材マネジメント部会の初日が開催されました。

Co-Labでは、伊藤が幹事団のひとりとして、進行役を務めさせていただいています。

 

人材マネジメント部会とは

人材マネジメント部会は、早稲田大学マニフェスト研究所が主催する、行政向けプログラムです。

2005年に始まり、今年で14年目を迎えます。

全国の自治体から派遣された参加者が、仲間と共に、所属する団体を地域経営型組織へと変革していくためのシナリオを研究し、経営層への提言にまとめ上げる実践的な活動の場です。

参加者個人の成長に特化した「研修」ではなく、所属する組織が望ましく変革する為の庁内対話を促す場であり、参加者の提言を題材に、所属組織内での変革に向けた深い対話が行われることを目指しています。

大切にしているキーワードは以下の4つ。

  1. 立ち位置を変える:相手の立場から考える
  2. 価値前提で考える:ありたい姿から考える
  3. 一人称で捉え語る:何事も自分事として考える
  4. ドミナントロジックを転換する:過去や前例に過度に囚われずに考える

今年は全国97市区町村から約300名が、東京、名古屋、仙台、福岡の会場に別れて参加しており、この日の東京会場には、山梨県、茨城県、静岡県などから約50名が集まりました。

対話(ダイヤログ)からはじめよう

この日は初日ということで、幹事団から本プログラムに対する想いや経緯が語られたあと、参加者同士の交流も兼ねて、「対話」に関するワークショップからスタートしました。

社会が多様化し、変化のスピードが加速している現代において、未来を予測することはとても難しいことです。

そんな時代に、自分だけの思い込みだけで世の中を理解し、先に進んでいくことは非常にリスクの高い行為と言えます。

特に、公共の利益を考えなければならない自治体においては、あらゆる角度からの情報を取り入れたり、いろいろな立場の人の意見に耳を傾けたりすることは、とても大切になるはずです。

そのために当部会では、「対話」の習慣を身につけることが、最初の第一歩になると考えています。

対話とはなにか

そもそも「対話」とはなんでしょう。

単なる世間話なら「会話」、相手を論破するための議論なら「討論」となりますが、「対話」は明らかに異なります。

「対話」とは、じっくり話し合うことに加え、お互いに言葉の意味づけを確認するプロセスです。

 

例として、「平等」という言葉と「公平」という言葉を考えてみます。

この2つの言葉を辞書で調べると、

【平等】差別がなく、みな一様に等しいこと

【公平】判断・行動に当たり、いずれにもかたよらず、えこひいきしないこと

一見するとどちらも同じ意味のように感じますが、こちらの図を見てみると、この2つの意味は実際には大きく違うということがわかります。

壁の向こうが見たい身長の違う3人に、3つの箱を等しく分けるのは「平等」。

壁の向こうを見る、という等しい結果を得られるよう3つの箱を分配するのが「公平」です。

行政だと、例えば災害時に限られた物資をどのように分けるべきなのか、といったケースで議論になる内容です。

限られた物資を住民全員に同じように分けるのか、それとも体の弱っている人や、子供たちに優先して分けるのか...など。

どちらも同じ意味だと思っていたという人もいれば、逆の意味で考えていたという人もいたかもしれません。

いずれにしても、言葉の曖昧な部分を確認し合い、話し合いの中から言葉の意味を定義づけていくことを「対話」と言います。

これによって、自分が無意識のうちに抱えている思い込みや先入観を自覚し、それが誤っている可能性があることを常に確認する、という効果をもたらします。

つまり、「対話」とは相手と自分の違いを客観的に見て、お互いに認め合うことであり、そのために必要なのは、

・相手の意見を受け入れる気持ちで聴くこと
・自分の意見を話すということ

の両方の作業です。

一見簡単なようですが、まず人の話をしっかりと傾聴するだけでも大変なのに、思い込みや先入観を捨てて相手の意見を受け入れることは、もっと大変なことです。

また、自分の意見を一生懸命話しても、その真意までを完璧に伝えるのは不可能で、一説には伝えたいことの30%程度しか伝わらないとも言われます。

 

対話を体験するワークショップ

参加者の皆さんは、まずこの壁を乗り越えるために、何度も席替えをしてたくさんの人と、自身のことや自身の所属する自治体のことを伝え合うワークショップを行いました。

最初の頃は緊張もあり、やや硬い雰囲気でしたが、年齢も近く、地理的にも近い自治体同士は共通の話題などもあったようで、時間を負うごとに打ち解けた雰囲気になっていきました。

特に、参加者全体の2割程度を占めた女性の方々が、相手の顔を見て、自然な笑顔で話をしたり話を聞いたりしていたのが印象的でした。

男性の幹事団からは、「もっとも傾聴が求められるのは家庭だ!」とのコメントもありましたが、たしかに、一般的に男性は要点をまとめるのは得意ですが、その分まとまりのない話をじっくり傾聴するのは苦手な傾向があります。

必ずしも男女の違いではないかもしれませんが、このような対話の訓練は、仕事だけでなく、少なからず家庭やプライベートにも影響をもたらすでしょう。

それはともかく、これら対話の体験を踏まえて、初日のプログラムはまだ続きます。

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