人事評価制度導入 前山倉庫株式会社様

(担当:文章:五十嵐)

 こんにちは。Co-Labスタッフ五十嵐です。

 

Co-Labでは、行政・企業・個人など、様々なクライアント様とお仕事をさせていただいているのですが、その関わり方や業務内容は多岐に渡ります。今回は、そのなかでも企業向けに人事評価制度の導入サポートをしている企業にお邪魔してきました。

 

人事制度は、多様な価値観をもつ社員を受け入れながら、企業の成長を導くとても大事なものです。とはいえ、専門性も高く、担当する幹部にとっては昨今の「働き方改革」に代表されるような労務環境の課題などにも追われ、制度そのものにメスを入れるのはなかなか勇気がいるのではないでしょうか。そんな課題意識を感じている企業のみなさんにとって、少しでも有益な情報になれば嬉しいな、と思います。

 

評定会議にお邪魔してきました

 

2019年6月末、梅雨の小雨が降る中、茨城県坂東市に本拠を置く前山倉庫株式会社様(以下、前山倉庫様)にお伺いしてきました。創業から約50年、倉庫業や運送業を中心に事業を行なっています。

 

こちらで担当させていただいているのは「人事評価制度の策定と導入」です。以前は経営幹部の裁量だけで判断してきた人事評価や昇級・昇格を、客観的な判断基準で、各部門のリーダーが評価できるようにし、同時にリーダーの成長も促したい、というご依頼をいただき、伊藤が約4年前から取り組んできました。

この日は、今期の全社員の評価結果を検証していく「評定会議」の場でした。評価制度は3年前から実施してきたのですが、これまではトライアル的な実施だったのに対し、今後はいよいよ実際に給与に反映させていく段階となったので、このタイミングであらためてリーダー層の皆さんと今期の評価結果を見返す機会をもうけ、制度の曖昧さや不備がないか、目線のズレがないかを検証していくのが目的です。17名のリーダーが参加し、約100名におよぶ社員ひとりひとりへのコメントと評価を確認しながら、5時間にわたり議論をしていきました。

 

「行動評価」とは

 

前山倉庫様で導入した評価制度は、「行動評価」と呼ばれるものです。

 

人事評価制度そのものは、いろいろな種類があります。かつて日本で主流だった「年功評価」をはじめ、「成果主義」「役割評価」など。それぞれにメリットデメリットがあるので、どれが正しいということではありませんが、時代の流れとしては、年功評価は下火になり、能力評価が主流になりつつあるようです。そのなかで、前山倉庫様では、年齢やキャリアに関係なく、ひとりひとりの日々の努力を評価に反映できるよう、「行動評価」を採用しました。

 

これは、評価期間中にどんな行動をとったか、具体的な取り組みやプロセスを評価対象とする評価方法です。「より効率的に仕事が進むように手順を改善した」「新たな顧客開拓のために、粘り強くアプローチした」など、日々の小さな努力の積み重ねを評価しやすいメリットがあります。いわゆるブルーカラーと呼ばれる肉体労働が多い職場や、ラインでのチームワークを主に行っている職場には馴染みやすい制度なのではないでしょうか。

 

評価の際は、その会社が求める価値観に基づいた項目(前山倉庫様の場合は6項目)を設定し、それぞれの項目についてどんな行動がどの評価に当たるか示したマトリックスに照らし合わせ、具体的な行動を記載しながら評価をつけていきます。

 

さらに前山倉庫様では「自己評価」の仕組みも取り入れました。上司が部下の評価をするのと同時に、部下も自分のことを客観的に振り返り評価をしたあと、互いの評価を持ち寄って面談を行い最終的な評価を決定します。自分で自分の行動を振り返る機会になるだけでなく、上司による一方的な評価を防ぎ、より納得感のある結論に導くことができるメリットがあります。

 

 

もちろん課題もあります

 

ただし、実際に運用していくなかでは、当然いくつかの課題も生まれます。

 

もっとも頻繁に起こるのは、ひとつの行動に対して、人によって評価や解釈が異なるケースです。現場で日々起こることは千差万別ですし、想定外のことも起きるので、マトリックスとピタリとはまるほうが稀です。同じような行動をしたのに、AさんとBさんとで評価が違う、前回と今回とで評価が違う、といったことがないように、マトリックスの解釈にズレがないか、そもそもの漏れがないか、ということを常に確認していく必要があります。

 

また、そもそも上司が部下の仕事ぶりを詳細に観察していないと、具体的な行動を拾い出すことはできません。行動を拾い出すことができなければ、必然的に評価がさがってしまう仕組みでもあるので、上司の姿勢が問われる仕組みでもあります。

 

実は、私自身も以前勤めていた会社で、この行動評価と自己評価の制度を実施していました。上司側も部下側も何度も経験したのですが、年2回の評価面談が近づくと、半年間の出来事を一生懸命振り返り、マトリックスを見返しながら何日もかけて記入していたことを思い出します。時には、上司と解釈が分かれ、モメたこともあったように思います(もちろん、その後ちゃんと解決しましたよ)。

そもそも人事評価の目的とは

 

どんな制度を採用するとしても、評価制度を導入する目的は、社員のモチベーションを高め、会社を成長に導くことです。そのためには、どんなに完成度の高い制度であろうと、どんなに公平に運用をしていようと、社員にとって「納得感」がなければ意味がありません。人事制度を導入する場合にも、その課題を修正する場合にも、その最終目的を常に意識しておくことが重要です。

 

行動評価の場合は、その納得度を特に左右するのは、上司が自分に対していかに目を配っているか。そして評価制度を深く理解し、評価の合意が得られるかです。評価が高かったor低かったかは意外なほど関係ありません。

 

私が勤めていた会社でも、評価をはじめて受ける新入社員などに面談の感想を聞いてみると、納得感の高かった人の感想は、「上司がこんなところまで見ていたんだ、と驚きました」といった声のほうがよく聞かれました。なかには、「評価は正直言って悪かったけど、自分でも忘れていたような行動を覚えていてくれて嬉しかった」といって機嫌よく帰ってくる人もいたほどです。こういう時は、素直に「次はがんばろう」と思えるものです。逆に、どんなに評価が高くとも、それが根拠のないいい加減な評価だと見抜かれれば、モチベーションはさがってしまいます。もっと言えば、日頃の仕事ぶりをロクに見てくれていないと感じた時点で、どんな評価になろうと納得感は得られないということでもあるのですね。

 

これは、評価する側には、なかなかに負担があるのは正直なところです。ですが、そもそも日常的なチームメンバーの行動に目を配り、その都度適切にマネージメントするのがリーダーの役割。この役割と評価制度が深くリンクしている点では、優れた制度と言えるのではないでしょうか。

 

最後に

 

前山倉庫様の場合、倉庫業や運送業という特性上、社員の多くは各地の現場に分かれて作業をしています。夜勤を含む3交代での仕事や、ラインでの作業、フォークリフトを運転するような専門性の高い仕事もあります。最近では職場に外国人労働者が増え、日本語があまり通じないなかでの指示だしをしなければならなくなった社員の方もいるようです。自己評価自体に苦手意識がある人がいたり、クライアントによって求められる業務水準が違ったり、といった苦労も伺えましたが、約3年間の経験を通して、制度そのものへの理解はとても深まっており、評価の解釈をめぐって積極的な意見が交わされていました。面談でもうまく部下の意見を引き出したり、評価制度を前向きにとらえてもらえるよう促したりといった工夫も伺えて、「以前はまったく書いてくれなかった自己評価をびっしりと書いてくれるようになった」「目標をもって生き生きと仕事をするようになった」といった嬉しいエピソードも聞くことができました。

 

印象的だったのは、評価項目のなかに「誠実さ」という項目があったことです。これは、先代社長から現社長に引き継がれている「人の心を大切にする」という理念を反映させたものです。あえてこうして評価項目に反映させることで、社員は会社の価値観に触れていきます。パワフルだけど丁寧に、そして誠実な皆さんの仕事ぶりが、人事制度を通して、今後ますますパワーアップしていったらいいな、と率直に思います。

(担当:伊藤/文章:五十嵐)

ページトップへ

Menu